[Music] Swallow the Sun – “When A Shadow Is Forced Into The Light”

When A Shadow Is Forced Into The Light
Swallow The Sun
Century Media (2019-01-25)
売り上げランキング: 68,863

フィンランドが誇るGothic/Doomの帝王Swallow the Sun8枚目のスタジオ・アルバム。
前作は自身のもつ音楽性を静と動の要素に分解し、3枚組という非常に挑戦的なアルバムを作ってきましたが、
今作は1枚のアルバムの中にSwallow the Sunらしい「Melancholy/Beauty/Despair」を表現する1枚に。
そしてギタリストでメインソングライターのJuva Raivioがパートナーを失った絶望を乗り越えるために創られたということもあり
(というかそんな状況になってたの全然知らなかったですね…)
極めてパーソナルで、かつSwallow the Sunの作品で最も「死」と「生」に近いところにあるアルバム。

今作の前にリリースされたEP「Lumina Aurea」ではこれまでのSwallow the Sunの作風とはまったく異なる、
映画音楽のようなアプローチで深く沈み込む絶望を描く「喪失の情景」の表現がなされており「これをEPにするとか凄いな…!」と感じましたが、
そこから続くアルバム本編は音楽的には幾分かの救いが感じられる内容。
特にアルバム前半はドゥームなリフもかなり抑えめで、テーマを抜きにすればかなり聴きやすいです。
ただ特徴的なのは、生と死の境界線の、「こちら側」の端から「向こう側」を眺める風景が曲に収められている全ての音から強く想起されること。
特に”The Crimson Crown“の現世と冥府を隔てる河が脳裏に浮かぶ幽玄な音世界がたまらない。
さらに歌というよりも呪術めいたクリーンVo.が心地よい”Firelight“、
美しさと慟哭のコントラストがこれぞSwallow the Sunな”Upon The Water“、
メロウなクリーンVo.とヴァイオリンの重苦しさが印象的な”Clouds On Your Side“と続き、
Here On The Black Earth“で灰色の墓標を思わせるイントロからのリフとヴォーカル両方で嘆きと慟哭を爆発させ、
空虚な虚無感に満たされる”Never Left“でアルバムは幕を閉じる。
アウトロの「Empty rooms…」からひたすらEmpty…を連呼するのが聴き終わった後に心に楔を打ち込まれた感覚が残るのがとても良い。

全体通して、「静寂」をすごく効果的に用いているアルバムという印象。
音の隙間まで含めての心象風景の描写が見事で、「静」の部分があるから「動」の部分で感情がより動かされる音楽になっていると思う。
なので家で、雑音のない環境でじっくり聴いてこの音世界に浸りたい。
あと「Lumina Aurea」と地続きになっている作品なので両者を続けて聴きたいですね。
特に繋げて聴くと1曲目の表題曲のもつ意味合いが変わってくると思う。
横たわるテーマを考えると気軽に聴けるアルバムではないけど、美しい悪夢の中に身を置いて絶望の出口を探す感覚が非常に心地よいアルバム。