セイバー指標で見る2022NL Cy Young賞見通し
2022, Nov 08
ワールドシリーズも終わり、オフシーズンに本格突入しましたが、 各Awardsのファイナリストが発表されましたね。 この記事ではNational LeagueのCy Young賞の展望をセイバーメトリクス系指標を参照しながら見ていこうと思います。
まず、NLのCY賞ファイナリストは以下の3名です。
Your 2022 NL Cy Young Award finalists! pic.twitter.com/ppOKtL9lAT
— MLB (@MLB) November 7, 2022
- Sandy Alcantara (MIA)
- Max Fried (ATL)
- Julio Urías (LAD)
AlcantaraとFriedは予想通りですが、Uriasが残ったのはかなり意外でしたね。 Aaron NolaやCarlos Rodónのほうが残るかと予想していました。
それでは3人の投球内容、指標を見ていきましょう。
ファイナリスト3人の指標比較
Alcantara, Fried, Uriasの主要指標の比較表を以下に掲載します。
ここから見える3人の特徴を列挙していきましょう。
Sandy Alcantara
- 3人中1位の指標は意外と少ない(tERAとxwOBAくらい、xwOBAは僅差)
- しかし2位の指標が非常に多い(11個)
- 特筆すべきはダントツに多いイニング数。228イニングは現代のMLBにおいて突出している
- イニング数の多さと、総合的な指標の優秀さからfWAR, bWARともに3人中トップ
- 文句をつけられるとすればHardHit%の高さか
Max Fried
- Barrel%とBB%の低さが突出。「ホームラン性の打球を打たれず、四球も出さない」エースの投球。
- FIP,xFIPなどfielding-independentな指標がトップのものが多い。「ホームラン/三振/四球」の観点からは最も優れていると言っていいだろう
- LOB%とBABIPが悪い(特にBABIP)。守備や運の要素でERAが悪化している可能性がある
- それでも2.48という十分以上に高水準なERAに抑えているのは流石
- Alcantaraには負けているものの、fWAR,bWARともに高水準
Julio Urias
- ERAが突出(NLトップ)
- FIP/xFIPは残り2人よりもかなり悪い
- BABIP,LOB%がかなり良い(Friedと真逆)
- ERAが低い最大の理由と考えられる。
- LADの投手は数年単位でこの傾向があり、走者を出しても失点しない特徴が際立っている
- HardHit%も3人中トップ
- これもHardHitを重要視するLADらしさを感じる
- 純粋な投手の能力で見るとAlcantara,Friedには負けるが、「失点しないこと」も投手の能力と捉えるならば非常に優秀な成績ではある
Statcastデータ
3人のStatcastのデータも貼っておきましょう。
Sandy Alcantara
Max Fried
Julio Urias
FriedはBarrel%,BB%,HardHit%の優秀さが、UriasはHardHit%とFastball Spinの優秀さが際立っていますね。 Alcantaraは速球の球速と総合力という感じ。
結論めいたもの
直感的な印象と同様に、「まぁAlcantaraが優勢だよね」という気はします。 総合的に優れていると上でも書きましたが、bWARとfWARで大きく差をつけてトップというのは大きい。 ただMax FriedもFIPなどホームラン/四球/奪三振ベースの指標面では善戦してるのではと思いますね。 ATLファンとしてはCYには届かなくともなるべく多くの票を獲得してほしい。